私たちは勉強をするとき、キリの良いところまでやってから終わらせようとしがちです。しかしこれは、認知心理学の『ツァイガルニク効果』を考えると誤りです。
この記事では、以下の内容を説明します。
- 『ツァイガルニク効果』の説明
- 勉強を「キリの良いところ」で終わらせるべきでない理由
- 『ツァイガルニク効果』を生かした勉強の方法
『ツァイガルニク効果』とは?
まずは『ツァイガルニク効果』がどのようなものか説明します。ツァイガルニクとは、この効果を発見した心理学者の名前です。
課題が中断されると、それが記憶されている可能性がはるかに増す
ブルマ・ツァイガルニク(1901-1988)
三省堂『心理学大図鑑』 162ページより
ロシアの心理学者ツァイガルニクは、指導教員のレヴィンに「レストランのウェイターが既に支払いが済んだ注文の内容よりも、まだ支払いの済んでいない注文の内容をよりよく覚えている」という現象を聞かされました。
ツァイガルニクは、この現象を解明するための実験を行いました。被験者はパズルや箱の組み立てといった、複数の簡単な課題を行うように指示されました。ただし、これらの課題のうち半分は、最後まで完了する前に中断させられました。
その後、被験者は行った課題の内容を聞かれました。その結果、被験者は完了した課題の詳細よりも、中断させられた課題の詳細を約2倍よく覚えていることがわかりました。
要するに?
『ツァイガルニク効果』とは、「最後まで終えたことよりも、まだ最後まで終えていないことをより良く覚えていられる」現象のことです。
『ツァイガルニク効果』を勉強に生かすには?
この『ツァイガルニク効果』を勉強に応用してみましょう。
なぜキリの良いところで終えてはいけないか?
私たちは勉強をするとき、キリの良いところまでやってから終わるようにしがちです。これがなぜ良くないのでしょうか?
それは、『ツァイガルニク効果』によると、最後まで終わらせたことについてはあまり覚えていられないからです。
勉強をキリの良いところまでやってしまうと、それで満足して忘れてしまうので、勉強を続けづらいのです。
あえてキリの悪いところで中断すると、勉強を続けやすい
勉強をキリの良いところまでやってはいけないことがわかりました。ですので、これからは、あえて中途半端なところで勉強をやめるようにしましょう。
『ツァイガルニク効果』によると、途中で中断したことについてはよく覚えていられます。
つまり、「勉強を中途半端なところでやめる」ことで「そういえば、あれをまだやってる途中だったな……やらないと」という気分になって続きをやりたくなるので、勉強を長く続けやすくなります。
具体例
いくつか具体例をあげます。
「数学の問題が5問あったら、全部やらずに2問目や3問目でやめる」
「参考書を読むときは、文章の途中でやめる」
「英単語帳の暗記は、ページの途中でやめる」
どれも非常に気持ち悪くなりそうで、一刻も早く続きをやらなければならない気になりそうですね。
『ツァイガルニク効果』と相性の良い『読むだけ勉強法』
『ツァイガルニク効果』と相性の良い勉強法があります。
書く必要のない場合は机に向かって勉強せずに、読むだけで済ませるというものです。この方法自体、気軽にいつでも勉強をはじめやすいので、勉強を習慣づけやすいです。
そのうえ、この勉強法は中途半端な位置でやめやすいです。したがって『ツァイガルニク効果』でさらに勉強を続けやすくなります。
この方法は、単純な暗記(例:英単語、歴史の用語の暗記)や、1問があまり長くならない問題集(例:英語全般、TOEICのPart5)を勉強するときにおすすめです。

まとめ
『認知心理学』『ツァイガルニク効果』などと難しそうなことを言っているように見えますが、「中途半端なところでやめると、気持ち悪くなって続きをやりたくなる」というだけの話です。
勉強は続けることが重要です。これからは中途半端なところで勉強をやめるようにしましょう。