ラノベで英語!:アクセル・ワールド1巻

英語
この記事は約13分で読めます。

“Don’t you want to go further, boy…to accelerate?”

黒雪姫「もっと先へ……《加速》したくはないか、少年」

日本語版29ページ

日本で人気のライトノベルの中には、英訳版も出ているものもあります。

英訳ラノベは普通の洋書(ハリーポッターなど)と比べて、易しく読みやすいものが多いです。さらに、日本語版やアニメで内容を知っていれば、多少理解できなくても話についていけます。

そんなわけで、ラノベ・アニメ好きの人で、英語の本を読みはじめたい人にオススメです。

この記事は、そんな英訳ラノベで使われた単語や名場面などで英語の勉強をしよう!というコーナーです。分かりづらい文も説明します。

今回はアクセル・ワールド1巻です。

スポンサーリンク
スポンサーリンク

Accel World, Vol. 1 (light novel): Kuroyukihime’s Return

日本語サブタイトル:黒雪姫の帰還
英語サブタイトル:Kuroyukihime’s return

・Amazon
書籍版:英語版 日本語版
Kindle版:英語版 日本語版

日本語版:角川書店 電撃文庫
英語版:エン・プレス yen on
著者:川原 礫
訳者:Jocelyne Allenご本人のサイト・『のんのんびより』、『加瀬さんシリーズ』などの訳者)

英語版ページ数:224
おすすめ度:★★★★★

あらすじ

どんなに時代が進んでも、この世から「いじめられっ子」は無くならない。デブな中学生・ハルユキもその一人だった。 彼が唯一心を安らげる時間は、学内ローカルネットに設置されたスカッシュゲームをプレイしているときだけ。仮想の自分(アバター)を使って≪速さ≫を競うその地味なゲームが、ハルユキは好きだった。 季節は秋。相変わらずの日常を過ごしていたハルユキだが、校内一の美貌と気品を持つ少女≪黒雪姫≫との出会いによって、彼の人生は一変する。 少女が転送してきた謎のソフトウェアを介し、ハルユキは≪加速世界≫の存在を知る。それは、中学内格差(スクールカースト)の最底辺である彼が、姫を護る騎士≪バーストリンカー≫となった瞬間だった――。 ウェブ上でカリスマ的人気を誇る作家の、第15回電撃大賞<大賞>受賞作!実力派が描く未来系青春エンタテイメント! 巻末には、気鋭の作家・川上稔による超豪華な短編小説 & ビジュアル解説企画付き!!

アクセル・ワールド1巻カバーあらすじより

紹介

ソードアート・オンラインの川原礫氏のデビュー作品です。2012年にアニメ化もされました。1巻が刊行されたのは2009年なので、2019年の今年で10周年になります。

舞台は2046年、脳と無線接続するウェアラブルコンピュータ・《ニューロリンカー》が一般に普及した世界です。そんな世界で、いじめられっ子の中学生・ハルユキは、ニューロリンカーの仮想世界のスカッシュゲームに逃避していました。しかし校内一の美少女《黒雪姫》との出会いにより、《加速世界》での対戦格闘ゲーム《ブレイン・バースト》の世界に身を投じることになります。

単語

Kuroyukihime(黒雪姫)

英語には「先輩」に相当する言葉がないので、ハルユキが黒雪姫を「先輩」と呼ぶセリフは全編で”Kuroyukihime”になっています。

海外の日本アニメオタクは”Senpai”を知っているイメージがありますが、知らない人のための配慮でしょう。

Neurolinker(ニューロリンカー)

Neuro-=神経の
Linker=接続するもの

なので、「神経的に接続するもの」というようなニュアンスです。「脳と無線接続する量子コンピュータ」の性質を表していますね。

名ゼリフ

もっと加速しろ

Dammit! I have to accelerate, have to go faster. So fast I can break through every wall in the virtual world and even the real world and go somewhere without people! Fast!

畜生、もっと――もっと加速しろ。仮想世界も、現実すらも、あらゆる壁をぶち抜いて、誰もいない場所へ行けるほど――速く!

日本語版21ページ

Dammit (俗)畜生、くそっ
Accelerate【動】加速する

現実世界から逃げるように、仮想空間でスカッシュゲームをプレイするハルユキのモノローグです。

“Dammit”はスラングで、「畜生」という意味です。これは”Damn it”から来ていますが、”Damnit”ではなく”Dammit”です。”Damn”の元の意味は「けなす」「ののしる」「呪う」という意味です。F***ほどではありませんが、品の良い言葉ではありません。

2文目はso ~ that …構文のthatが省略された形です。

「もっと先へ……《加速》したくはないか、少年」

“Don’t you want to go further, boy…to accelerate?”

黒雪姫「もっと先へ……《加速》したくはないか、少年」

日本語版29ページ

Further farの比較級(程度を表す)
(Far【副1】(程度について)はるかに、大いに
【副2】(距離、空間的な意味で)遠くに)

冒頭でも紹介した文章で、ハルユキと黒雪姫が初めて出会ったシーンです。アクセル・ワールドを象徴する名ゼリフですね。

farの比較級にはFurtherとFartherの2つがあります。Furtherは「程度がさらに上」という意味で用いられ、Fartherは「物理的な距離が遠い」で用いられます。

この「もっと先へ……」は「より高みを目指す」という意味だと考えられるので、物理的な距離が遠いことを表すFartherではなく、Furtherが使用されています。

有線直結通信、直結

有線直結通信 = Direct wired transmission
直結 = “direct”

初出:日本語版37ページ

Wired【形】有線の
Transmission【名】送信、伝送

有線直結通信、略して直結です。ニューロリンカー間を有線ケーブル(XSBケーブル)で接続することを指します。

通常ニューロリンカーは無線やネットを介して相互通信を行い、そこには強固なセキュリティが介在します。しかし、この直結通信の場合はそれらセキュリティの9割が無効化されます。

ですので常識的には、直結は恋人や家族といった信頼できる相手とする行為です。黒雪姫が出会ったばかりのハルユキに直結で《ブレイン・バースト》プログラムを送信しインストールさせたことで、物語は動き始めます。

「この……馬鹿者!!」

“You…idiot!!”

黒雪姫「この……馬鹿者!!」

日本語版95ページ

Idiot【名】ばか、まぬけ

自分のデュエルアバターの可能性を信じられない、卑屈なハルユキに怒る黒雪姫のセリフです。

バカを表す言葉には色々あります。

silly=形容詞で「おバカ!」くらいの軽い意味、「バカげていて面白い」というときにも使われる
foolish=形容詞で「分別がない、判断力が欠けている」という意味のバカで、冗談でも使われる
stupid=形容詞で「知能が足りていない」という意味のバカで、割とキツい言葉
idiot=名詞で「foolish,stupidな人」
moron=古くは軽度の知的障害を指す言葉で、非常にキツい言葉なので使わないほうが無難だが、それなりに見かける

「強さというのはな、決して結果としての勝利だけを意味する言葉ではないよ。」

Strength is by no means simply a word indicating victory. I spent a fair bit of time learning this. And by the time I learned the lesson, it was already too late.”

黒雪姫「強さというのはな、決して結果としての勝利だけを意味する言葉ではないよ。私は、それを学ぶのに余りにも長い時間を費やした。そして学んだときには、もう遅すぎた」

日本語版96ページ

By no means決して~ない
Indicate 【動】示す、表す
A fair bit of ~ かなりの~
By the time ~するときまでには

深みのある言葉です。

spend ~  (in,on) doingで、「…することに~を使う、費やす」という意味になります。

「私は彼に告白して現在返事待ちだ。」

“I do. I’ve been friends with Haru longer than anyone at this school.”

チユリ「あります。この学校で、私がハルと一番長い友達ですから」

日本語版122ページ

 

“In that case, I rank somewhat higher. You may have heard the rumors, but I confessed my crush to him and am currently awaiting a reply. We were just about to go on a short date.”

黒雪姫「ならば、私のほうが優先度は高いな。もう噂は聞いているだろう、私は彼に告白して現在返事待ちだ。これから軽くデートするところだ」

日本語版122,123ページ

Rumor【名】うわさ
Confess【動】告白する、白状する、認める
Crush(俗)夢中である気持ち、片思いの相手
Crush【動】押しつぶす)
be about to ~ まさに~しようとしている

ハルユキの幼馴染チユリと相対した黒雪姫の爆弾発言です。

Crushは「押しつぶす」という意味の動詞ですが、特定の相手に夢中であることや、その片思いの相手のことを指すスラングでもあります。1900年前後から使われていたスラングのようです。

「ケーブル長はどれくらいだ」

“How long was the cable?”

「ケーブル長はどれくらいだ」

“Th…irty centimeters,”

「さ………んじゅっせんち、です」

日本語版176ページ

チユリと《直結》(direct)したハルユキに、使用したXSBケーブルの長さを聞く黒雪姫。妬いてますね。

「ハルユキ君。私は、キミが好きだ」

“Mm. Given that these are my last words to you, you’ll believe me, won’t you?”

黒雪姫「うん。今この瞬間なら、そして私の最後の言葉としてならば、キミは私の言うことを信じてくれるだろう?」

日本語版198,199ページ

 

“Haruyuki, I like you.”

黒雪姫「ハルユキ君。私は、キミが好きだ」

日本語版199ページ

 

“This is the first time in my life I’ve felt like this. Unable to control it, totally confused. At school, at home in bed, I’m always thinking of you, and I’m happy and I’m sad. So this is love…It’s wonderful. It’s a miracle.”

黒雪姫「生まれてはじめての感情だ。まったく制御することができずに途惑うばかりさ。学校にいるときも、家でベッドに横になっていても、いつでもキミのことを考えて、うれしくなったり、悲しくなったりしているよ。これが恋というものだったんだなぁ……なんて素晴らしい……奇跡なんだろう」

日本語版199ページ

Given that ~とすれば、~であることを考えれば
Unable【形】(be unable to doで)~することができない
Confused【形】混乱した、当惑した

もはや悲劇を避けることができない状況での、黒雪姫の告白。

1つ目のセリフのGiven that ~は「~であることを考えれば」という意味です。これは分詞構文とも考えられますが、接続詞と見なされています。thatのないGiven ~も同じ意味で、こちらは後に節ではなく句が続く前置詞的に用いられます。文末のwon’t you?は付加疑問文ですね。

2つ目のセリフでは「好き」を表す英単語として、likeが使われています。loveは相当「重い」愛しているという意味なので、告白はlikeが適切な英単語だといえます。

「現実の君はとてもフラジャイルで……」

“But although you conceal such strength and potential, in reality, you are very fragile…so pitiful it’s sad. It was like my heart was being ripped apart.”

「でも、そんなにも強い力と可能性を秘めながら、現実の君はとてもフラジャイルで……切ないほどに痛々しくて、私は胸が引き裂かれるようだった。」

日本語版201ページ

Conseal【動】隠す、秘密にする
Fragile【形】壊れやすい、かよわい、はかない
Pitiful【形】かわいそうな、痛ましい
Rip【動】引き裂く、破る、はぎ取る
Apart【副】離れて、ばらばらに

黒雪姫がハルユキを好きになった理由です。

日本語版でもフラジャイルと書かれているfragileは「壊れやすい」「かよわい」といった意味です。例えば、宅配便の割れ物ラベルは英語圏ではFRAGILEです。

“my heart was being ripped apart.”は受け身の過去進行形ですね。

「守る。絶対に、守ります」

“I’ll protect you. I’ll do whatever it takes to protect you.”

ハルユキ「守る。絶対に、守ります」

日本語版220ページ

Protect【動】守る
Whatever it takes 何が何でも

黒雪姫を守る決意をしたハルユキ。

Whatever it takesは「何が何でも」という意味です。

うにだよは観ていないのですが、2019年に公開された映画『アベンジャーズ/エンドゲーム』の予告でこのフレーズが多用されました。「命をかけて」と和訳されています。

「……どうだった、ハル?」

“How’d it feel, Haru? Directing on Chi’s bed? How’d it feel to be held by her? Did you enjoy Chi’s body, touching her while you thought about me?”

タクム「……どうだった、ハル? チーちゃんのベッドで直結した感じは? 抱きしめた感じはどうだった? 僕のことを考えながら触ったチーちゃんの体はどうだったんだい?」

日本語版233ページ

どうしてこんなになってしまったんでしょうか。

「戦いの時――来たれり!!」

“I and my Legion Nega Nebulus come forth from behind the veil of obscurity to destroy this false peace! Take out your swords! Call up your flames! The time to fight… has come!!”

黒雪姫「我と、我がレギオン《ネガ・ネビュラス》、今こそ雌伏の網より出でて偽りの平穏を破らん!! 剣を取れ!! 炎を掲げよ!! 戦いの時――来たれり!!」

日本語版281ページ

Come forth【動】出てくる
Forth【副】前へ、見える所へ)
Veil【名】ベール、おおって見えなくするもの
Obscurity【名1】あいまい【名2】世に知られぬこと

かっこいい。「雌伏の網」=”the vail of obscurity”、「偽りの平穏」=”this false peace”と訳されています。

なお雌伏とは、

しふく【雌伏】( 名 ) スル

力を養いながら、自分の活躍する機会をじっと待つこと。

雌伏(シフク)とは – コトバンク

という意味です。

まとめ

・Amazon
書籍版:英語版 日本語版
Kindle版:英語版 日本語版

前半のハルユキの卑屈さに腹が立つかもしれませんが、後半でそんな彼も変わっていきます。ヒロインの黒雪姫が良いキャラをしていておすすめできます。

やや難しい単語も出てきますが、文章は平易で読みやすいです。ただし、ライトノベルとしては若干厚めかもしれません。

2019年8月現在、日本語版は24巻、英語版は20巻まで発売されています。川原礫氏の作品はソードアート・オンラインのほうが有名ですが、「アクセル・ワールドもよろしくな」と黒雪姫役の声優・三澤紗千香さんもおっしゃっていました。