ガチャやレアドロップがあるゲームをプレイするうえでは、確率についての正しい理解が欠かせません。しかし、確率は直感的に分かりづらく、インターネット上には誤った情報があふれています。
この記事では数式を使わずに、できるだけわかりやすく確率について説明していきます。
確率のクイズ
突然ですが問題です。計算などせず、適当に直感で答えて構いません。
ある人ががんの検査を受けた結果、陽性が出ました。
この検査を受ける人のうち、実際にがんにかかっている割合は1%です。
検査では、がんにかかっている人に99%の確率で陽性が出ますが、がんにかかっていない人にも10%の確率で陽性が出ます。
さて、この人ががんの確率は何%でしょう。
がんの人にはほぼ確実に陽性が出る一方、がんではない人に陽性が出る確率はあまり高くありません。そのため、かなり高い確率でがんだと思えます。
次の問題はどうでしょうか。
まず、あなたはドアを1つ選びます。まだドアは開けません。
その後、どのドアが当たりか知っている司会者が、残り2つのドアのうちハズレのドアを開けます。
ここであなたは、残ったドアに選択を変えることができます。ドアを変えるべきでしょうか?
選択を変えても変えなくても当たりの位置は変わりません。ですから、どちらも同じ確率だと思えます。
クイズの答え
答えを発表します。
答え
がん検査:陽性が出ているのにもかかわらず、がんの確率は9%しかありません。
ドア:ドアを変えないと当たる確率は3分の1ですが、変えた場合は2倍の3分の2になります。したがって、変えるべきです。
かなり直感に反する結果ではありませんか?確率に関して考えるときは、直感を信じてはならないのです。
がん検査の問題は、この種の確率の例題としてよく用いられる題材です。(条件付き確率という高校数学で習うもの)
ドアの問題は、モンティ・ホール問題という有名な問題です。
簡単に説明します。
当然ですが、ドアを変えないと「はじめに当たりを選んでいた場合(3分の1)は必ず当たりで、ハズレを選んでいた場合(3分の2)は必ずハズレ」になります。
一方、ドアを変えた場合は反対に「はじめに当たりを選んでいた場合(3分の1)は必ずハズレで、ハズレを選んでいた場合(3分の2)は必ず当たり」になります。
そのため、ドアを変えると当たる確率が2倍の3分の2になるのです。
確率は直感に反することが多い!
確率に関して考えるときは、直感を信じてはいけないのです。
では、何を信じれば良いのでしょうか。それは、知識です。確率について知ることで、間違った考えにとらわれず済みます。
とはいえ、確率の計算をするとか、数字を扱う必要はありません。ただ少し性質を知っていれば良いのです。
1%を100回引けば、1回は当たる?
ここから本題に入ります。
1%の確率で当たりが出るくじ引きがあるとします。ただし、引いたくじは箱に戻すこととします。つまり、1%のレアドロップ掘りやガチャだと思ってください。
何回引けば当たりを引くことを期待できるでしょうか。
1%は100分の1ですから、いわゆる「期待値」は100回です。100回やれば当たりを引けそうに見えます。
100回で1%を引ける確率は約60%しかない
さて、当たりが1%のくじを期待値の100回引いたとき、1回でも当たりを引ける確率は何%でしょう。
答えを言うと、およそ60%しかありません!つまり、期待値の100回引いても、10人に4人は当たりを引けないのです。
「期待」値とは言いますが、それほど期待できるわけではないのです。
くじを引いた回数と当たりを引ける確率のグラフを見てみましょう。
10回や20回で引ける人もそこそこいます。
しかし、期待値の2倍の回数である200回引いても、1割以上の人が引けないことがわかります。さらに、期待値の4倍である400回引いても、数%の人は引けないということもわかります。
期待値はあまりあてにならないことがわかりました。
4割の人は当たりを引けないのに、2回以上当たる人が3割いる
次に、100回くじを引いた結果、当たりを引いた回数の出現率のグラフを見てみましょう。
先ほど述べたように、4割近くの人は当たりを引けません。それにもかかわらず、3割ほどの人は2回以上当たりを引けます。そして、3回以上当たりを引ける人も1割ほどいます。
ランダムは、こんなにも不公平なのです。
1000回、10000回ではどうなる?
ここまで、1%のくじを100回引いたときの話をしてきました。
くじを引く回数を増やしてみるとどうなるでしょうか。
まずは、10倍の1000回引いたときの、当たりを引く回数の出現率を見てみましょう。当たり回数の期待値は10回です。
さっきよりも期待値に近い結果が出やすくなっています。しかし、1000回引いて2回や3回しか当たりを引けない人もわずかですが存在します。
では、さらに10倍の10000回引いたらどうなるでしょうか。当たり回数の期待値は100回です。
期待値から大きく外れた値は出なくなりました。
このように、回数を増やすほど結果は期待値に近づいていきます。これを大数の法則といいます。
なかなか当たりが出なくても、めげずにひたすら回数を重ねていくことが大事なのです。
まとめ
- 1%を100回引いても、4割の人は当たりを引けない
- 「期待値」は期待できない
- ランダムはとても不公平
- 試行回数を増やせば、結果は期待値に近づいていく(大数の法則)
余談
○分の1の確率で当たりが出るくじを○回引いたとき、○が十分に大きいなら、1回以上当たりを引ける確率は約63%です。この記事では○=100でしたね。
覚えておくと概算に役立ちます。